「シャネルNo.5」が誕生する前は、
植物や動物から採られた天然香料中心にした香水でした。
もっと日常的に気軽に使える香水を、
というところから生まれたのがこの香水。
脂肪族アルデヒドという合成香料を
バラやジャスミンなどの香りと組み合わせ、
温かみのある華やかな香りを完成させました。
脂肪族アルデヒドは、
単体で嗅ぐと、人の脂っぽい体臭のような匂いがします。
それを少量ブレンドすることで、
その他の香りを時には甘く、
シャープに引き立たせる役割を担います。
その後、このフローラルと組み合わせた
「アルデヒド」タイプの香水が
次々発売されるようになりました。
ポーは父親がフランス人、母親がロシア人。
ロシア・モスクワの香水会社であるラレ社の調香師でした。
1905年のロシア第一革命の際に、
ロシアからフランスへ疎開した際、
パリ・モード界の女王ガブリエル・ココ・シャネルに出会います。
その後、第一次世界大戦でフランスの軍人として北欧に駐屯していたポー。
真夜中でも日が沈まず、湖や川が白く輝き、
そのほとりに咲く美しい花々や若葉のようなみずみずしい香りが
深く記憶に残りました。
帰国後、シャネルに雇われた彼は、
そのイメージを基にバラやジャスミンを駆使して
新しいシャネルのための香りを創り上げていきます。
彼女のコレクションが発売されるのが5月5日で、
名前もそのまま「シャネルNo.5」と決まったのです。
調香NOTE